コラム



第1回 「レギュレータを咥えたままでしゃべれるの?」

 今回から数回に分けて、本機の特徴をご紹介していきます。

 初回は、レギュレータを咥えたままでしゃべれるの? について書いてみます。どうぞお付合いください。

 水中で私たちはレギュレータを咥えています。この状態で上手に話すことができるでしょうか?先に答えを記載しますが、上手に話すためには慣れとコツが必要、ということになります。

 私たちの口には、呼吸・食事・発声という3つの大きな機能があります。水中では生命維持がもっとも重要ですので、呼吸が最優先です。水中での食事や発声はまったく考慮されておりません。

 皆様は、水中で話しをしたことはありますか? 一度どんなことでもよいのですので喋ってみてください。最初は自分でも何を言っているのか分からないと思います。初めて水中で話すのですから、それも当然です。回りは海水です。レギュレータと唇の間に隙間が空いたらどうなるのか。また、レギュレータを咥えていますので、唇は閉じることが出来ません。舌も動かしづらいです。そんな状況で最初から上手に話せるほうが不思議です。

 しかし、ご安心ください。

 しばらく話し続けることで独りでに上手に話せるようになっていきます。なぜ、話すだけで上手になっていくのでしょう。その理由は人間に元々備わっている学習機能のおかげです。皆さん自身の声は、骨を伝わって内耳に入ってくるので、水中でもご自分で聞くことが出来ます。水中で発音した変な音声を自分の耳で聞くことで、人間は舌の動きや唇の動きをどんどん調整していきます。その結果、だんだん話し方が上手になってくるのです。外国語の発音も、自分の声を聞きながら何度も正しくなるように練習することで上手に発話できるようになります。同じ理屈なのです。

 Logoseaseは、水中音声を適切な音量と音質になるようにデジタル処理をしていますが、原音が良くないと補正しても効果が上がりません。これは、解像度の低い写真を拡大してもきれいにならないことと同じです。元々の音声をちょっとの訓練で改善することが出来ます。これにより、Logosease をより使いこなすことができるようになります。

 このように、上手に話すためには、水中でしばらく話し続けることが必要になります。

 どのくらいの練習が必要なのかは個人差がありますので一概には言えません。ですが、「残圧は?」とか、「大丈夫?」といった決まり切った短文であれば1本のダイビングでもうまく伝えられるようになることでしょう。


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