コラム



第3回  タッピングのコツ ~ 子ども達!人の話は最後まで聞くものですよ!

 前回までは、話し方のコツを2回に分けてご説明しました。

 第一回では、レギュレータを咥えて上手に話すためには練習が必要なことと、その練習は決して特別なものではなく話し続けるだけであることを、お話ししています。そして、第二回では、発音出来ない言葉は使わないことと、水中で話す言葉の理解度を上げるためには陸上で前もって伝えておくことを、お話ししました。

 今回は、送信モードと受信モードを切り替えるためのタッピングのコツについて書いてみます。どうぞお付合いください。

 Logosease はダイビング用のトランシーバーです。トランシーバーってご存じですか?相手の声を聞く受信モードと、自分が話す送信モードがあって、それを切り替えて使います。古いドラマですと、探偵が「・・・です。どーぞ」「了解しました。どーぞ」なんてやりとりしているシーンがありました。この「どーぞ」で自分の話すことを終え、相手の番になったことを知らせています。交互に話すのです。

 どうして携帯電話のように話せないの?と思いますよね。

 実は、海の中では電波が通じません。Logosease も超音波を使って通信しています。陸上の通信技術を海中に持ち込むことがとても困難なのです。携帯電話の基地局も用意できません。インフラが整っていなくとも通信できる方式、それがトランシーバーなのです。

 Logosease は、本体を軽く叩くことで受信モードと送信モードを切り替えることが出来ます。本体下部の丸くふくらんだ所に加速度センサーが入っています。そこをトンと叩くことで、「ピ・ボッ」と鳴って受信モードから送信モードに切り替わります。もう一度、トンと叩くと、「ピ・ボボボッ」と鳴って送信モードから受信モードに戻ります。この音の違いで、送信モードに変わったのか、受信モードに変わったのか、分かるようになっています。叩くたびに、交互に切り替わりますが、慣れるまでは音での判別が難しいかもしれません。そのときは、もう一度タッピングしてみて、音を確認してみましょう。これで、どちらのモードになっているか明確に分かります。

 ここまでのコツをまとめます。

  • タッピングの場所は、加速度センサーのある下部の丸みの部分です。
  • 送信モードに変わると、ピ・ボッと鳴ります。
  • 受信モードに変わると、ピ・ボッボッボッと鳴ります。
  • どちらのモードか分からないときは、もう一度タッピングして音で確認します。

 基本的な使い方はこれで終わりです。軽くタッピングするだけですので、とても簡単です。  しかし、私どものチームの中には

 「叩いても送信に切り替わらない! 叩きすぎて頭が痛くなる!」

とクレームをいうメンバーもいました。いったい、彼に何があったのでしょう? その理由と対処方法を解説するのが、今回の目的になります。

 外国の方に言わせると、日本人は人の話を途中で遮ることで有名なのだそうです。皆さんは自覚ありますか? 私も、子ども時分に母親から「人の話は最後まで聞くものですよ!」と教わったものです。 はて?この話がタッピングと何の関係があるのでしょう?実は大有りなのです。

 Logosease は骨伝導スピーカーで、【振動】を骨に直接伝える方式です。一方、タッピングは加速度センサーで、【振動】を検出して切り替えています。どちらも【振動】を利用しているのです。何も工夫がなければ、スピーカーから大きな音【振動】が鳴ると勝手に送信モードになってしまうことになります。これでは、まともに会話が出来ません。そこで、Logosease は、スピーカーの音量【振動】を監視して、加速度センサーの感度を自動的に調整しています。

  • 無音の時は、軽いタッピングで送信に切り替わります。
  • 小さめの音量では、やや強くタッピングすると送信に切り替わります。
  • 中程度の音量では、かなり強く叩くと送信に切り替わります。
  • 大きな音では、タッピングを無視します。

 このように、スピーカーから声が聞こえているときは、タッピングが効きづらい設定になっています。
 相手の話が終わった後なら軽いタッピングでOKですが、相手の話を遮るのは思いっきり強くタッピングしても難しいのです。
 もし、タッピングしても切り替わらないなぁと感じたときは、相手の話が終わるまで待ってみましょう。案外と簡単に切り替わると思います。いつまでも相手の話しが終わらなかったらどうしましょう? そのときは、アンテナを手で塞いで受信しないようして強制的に無音を作り出してください。

 タッピングの叩きすぎで痛くならないコツをまとめてみましょう。

  • 送信モードへの切替は、無音時を狙ってタッピングします。
  • 途切れなく話す人に割り込むときは、アンテナを塞いで無音を作り出します。

 このコツがわかってから、チーム内では、人の話は最後まで聞くようになりましたし、ペラペラ話し続けることも無くなりました。「叩きすぎで頭が痛い!」というクレームも皆無です。人の話は最後まで聞くこと、大事ですね。


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